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北斗の人(司馬遼太郎)のレビュー・登場人物紹介

司馬遼太郎先生の「北斗の人」。
北辰一刀流の開祖・千葉周作の青年期を描いた作品です。

北斗の人新装版 (角川文庫) [ 司馬遼太郎 ]

感想

周作の戦いぶりは鮮やかで読んでいて気持ちがいい。
戦いに敗れた者が次々に弟子になっていくのも面白い。

同時にこの伝説の剣豪の、人間味のある一面も垣間見ることができました。
努力や思考をし続け、迷いながらも自分の道を突き進む、強くて親しみの持てる、魅力的な人物です。

剣技に難解な名前を型につけることを排除し、精神修行ではなく合理的な肉体運動へと変えた北辰一刀流。
今までの常識を壊し、万人にもわかりやすく剣術を習えるようにしたこと。
とても興味深く読めました。

周作の周りの人物も面白いキャラクターで、父親の幸右衛門、元妻のお美耶、高弟の小泉玄神は特にいいです。
司馬遼太郎先生の作品の中では読みやすかったほうかなと思いました。

登場人物

[千葉家]
千葉周作 奥州の田舎出身の若者。剣術を追求しつづけている。北辰一刀流開祖。
千葉幸右衛門 周作の父親。馬医者。豪快で気さくな性格。周作に自分の夢を託す。

[中西派一刀流]
浅利又七郎 中西派一刀流の免許皆伝。周作の師匠。
高柳又四郎 中西道場の三哲。瞬時に勝負を決める「高柳の音無し勝負」で有名。
中西忠兵衛 中西道場四代目。天下第一の剣客。周作の才能を見抜いている。

[馬庭念流]
本間仙五郎 上州赤堀の大地主。馬庭念流の使い手。商才も剣術も一流。
樋口定輝 樋口家の十七世。小柄で神経質。腕は良いが体が弱い。
綿貫和助 樋口家の目代(塾頭兼執事)。策士であり腕も立つ。如才のない男。
木暮武太夫 伊香保の名主。馬庭念流の古い門人で宗家の世話役の一人。
都丸鉄吉 馬庭の永代免許の人物。狂気なほどに兵法熱心。周作討ち取りに派遣された。

[門人(北辰一刀流)]
小泉玄神 馬庭念流の使い手。「腹切り」という秘伝を持つ。佐鳥とともに千葉門下の双翼。
佐鳥浦八 上州の道場主。中西派一刀流で周作の先輩。普段は大人しいがいざとなると過激。
吉田川 周作の最初の門人。元は上州高崎の関取。人柄が良い。
細野源蔵 博徒だった男。まず親指を狙う戦い方から「指切り源蔵」の異名を持つ。

[他(剣客)]
宮部源心房 直心影流藤川派の道場主。32歳。荒稽古で有名。
植田主馬 自称東軍流の皆伝。本名は宮部勘次郎。源心房の弟。
鹿子木一閑 三河の剣客。「挙母の一閑」として名を馳せている。小天狗鞍馬流。

[他]
佐藤孤雲 伊達家の元家士。山里に住む世捨て人。周作が畏敬する唯一の人物。
お美耶 浅利の妻の姪であり養女。周作は婿養子。
喜多村石見守 周作の奉公先の主人。小才のきいた男。
植甚甚兵衛 老舗の植木屋。食客である周作を気に入っている。
おのぶ 植甚の娘。好奇心旺盛な女性で周作を気にしている。




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