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最後の将軍 -徳川慶喜-(司馬遼太郎)のレビュー・登場人物紹介

司馬遼太郎先生の「最後の将軍 -徳川慶喜-」。
徳川家の将軍慶喜の生涯を描いた作品です。

最後の将軍新装版 徳川慶喜 [ 司馬遼太郎 ]

【作品紹介】
幕末、開国か攘夷か、佐幕か倒幕かをめぐって、世間は最悪の政治的混乱に陥ってゆく。
文久二年、将軍後見職として華々しく政界に登場したのちの十五代将軍徳川慶喜は、優れた行動力と明晰な頭脳をもって、敵味方から恐れと期待を一身に受けながら、抗しがたい時勢の流れにみずから幕府を葬り去った。

感想

ボリュームは少ないけど、慶喜を魅力的に描き、生きざまがよくわかる一冊。

開国倒幕で固まった時期の将軍が慶喜だったという奇跡。
その一番困難な時期に危険な立場で孤独に闘う姿。
大政奉還という決断。
耐え難いであろう徹底恭順の姿勢。

徳川慶喜に対する印象が一変しました。

聡明で弁がたつ慶喜。得意の論戦の場面が2回ほど出てきます。
この弁舌がかなり見物。気持ちいいです。

【印象に残った登場人物】
  徳川慶喜 松平慶永 山内容堂 渋沢栄治郎

登場人物

徳川(一橋)慶喜 第15代将軍。多芸多才。敵側から家康以来の英雄と評価される程の人物。議論で勝てるものはいない。怖いもの知らず。常に冷静で機敏。
平岡円四郎 質朴な人柄で学問の才がある。慶喜の家臣。
原市之進 一橋家の謀臣。慶喜の影響で開国派に転向。最も信頼されている。
松平慶永(春嶽) 越前藩藩主。四賢候の一人。慶喜を慕う進歩的な民政家。
島津久光 薩摩藩藩主の父。だんまりとひたすら「否」と欠席で慶喜の論議に対抗。
山内容堂 土佐藩藩主。四賢候の一人。京における慶喜の支持者。
徳川家慶 第12代将軍。慶喜を気に入り、後継者にしたいと思っている。
阿部正弘 筆頭老中。幕府政治家の中でも出色の政治眼の持ち主。一橋派。
徳川斉昭 水戸藩藩主。慶喜の父。尊王攘夷の思想の持ち主。
徳川家定 第13代将軍。家慶の四男。生まれつきの病弱体質。
徳川家茂 第14代将軍。慶喜は将軍後見職。容貌は秀麗、人柄は謙虚。
井伊直弼 幕府の大老。水戸嫌い。安政の大獄を行う。
松平容保 会津藩藩主。京都守護職。慶喜の良き理解者。
久坂玄瑞 長州過激派の一人。
永井尚志 慶喜の4人目(最後)の謀臣。大政奉還からの重要業務を担当。
渋沢栄治郎 武州の農民のち慶喜の家臣。攘夷家。開城後も交流を続けた。




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