『ジョジョの奇妙な冒険』第5部「黄金の風」は、
シリーズの中でも特に音楽由来のスタンド名が多く、音楽への深いリスペクトが詰まった名作です。
しかし、アニメやゲームの海外版や英語公式表記は著作権や商標の問題を避けるために、スタンド名が大きく変更されています。
この記事では、原作と海外版のスタンド名を比較しながら、その変更の背景と面白さを掘り下げていきます。
なぜジョジョのスタンド名は海外で変えられるのか?
ジョジョのスタンド名の多くは、実在するバンド名・アルバム名・楽曲名が元ネタになっています。
日本では「オマージュ」として成立していても、北米でアニメやゲームを展開する際、アメリカは訴訟大国であるため、
- 商標権
- 著作権
- 権利元の管理の厳しさ
といった問題が生じやすく、Viz Media(小学館と集英社の共同会社)などの配給会社は、万が一の訴訟リスクを避けるため名前を変更する選択をしました。
そのため海外公式では、
- 意味が近い別名
- 能力を説明する名前
- 発音が似た安全な言葉
に変更されるケースが多くなっています。
実際には著作権侵害となる可能性は低いものの、「万が一」に備えた慎重な判断だと言えます。
ジョジョ5部|海外で変更されたスタンド名一覧
ゴールド・エクスペリエンス
🇯🇵 Gold Experience
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🇺🇸 Golden Wind(ゴールデン・ウィンド)
元ネタ: Princeのアルバム『The Gold Experience』
変更理由
Princeの著作権を考慮
ニュアンスの違い
- Gold Experience:黄金の「体験」「経験」
- Golden Wind:黄金の「風」
ジョルノのスタンド名が5部のサブタイトル「黄金の風」そのものになりました。これにより「5部の主役感」がさらに強調される形に。
哲学的な響きが薄れましたが、海外ファンからは「作品のテーマに寄り添った美しい改変」と非常に評価が高いです。
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム
🇯🇵 Gold Experience Requiem
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🇺🇸 Golden Wind Requiem
※ Requiem は一般名詞のため、そのまま使用。
スティッキィ・フィンガーズ
🇯🇵 Sticky Fingers
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🇺🇸 Zipper Man(ジッパーマン)
元ネタ: The Rolling Stonesのアルバム『Sticky Fingers』
変更理由
Rolling Stonesの著作権を考慮
ニュアンスの違い
- Sticky Fingers:盗癖・犯罪・粘着質な響き
- Zipper Man:能力説明そのもの
能力は確かにジッパーなのですが、ブチャラティの「危うさ」や色気など、オシャレさが失われてしまいました。
海外ファンからの評判が最も悪い変更の一つ。「ジッパー男」というストレートすぎるネーミングに、「ダサい!」と絶望したファンも多かったのですが、今や逆に愛されすぎてネタにもされまくっています。
ムーディー・ブルース
🇯🇵 Moody Blues
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🇺🇸 Moody Jazz(ムーディー・ジャズ)
元ネタ: The Moody Bluesというバンド名
変更理由
バンド名の著作権を考慮しジャンル変更。
ニュアンスの違い
Blues(憂鬱)からJazz(即興)へ。
「Blues」を「Jazz」に変えただけのシンプルな変更。
音楽ジャンル同士の置き換えなので、雰囲気は比較的保たれています。
アバッキオの過去を「再生」する能力にふさわしく、意外にも相性は悪くありません。
アバッキオの大人な雰囲気にも合っているため、ファンからは好評です。
セックス・ピストルズ
🇯🇵 Sex Pistols
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🇺🇸 Six Bullets(シックス・バレッツ)
元ネタ: Sex Pistolsというパンクロックバンド名
変更理由
バンド名+「Sex」という単語の回避。
ニュアンスの違い
- Sex Pistols:過激・反体制
- Six Bullets:6発の弾
「Sex」という単語を避けつつ、6人の弾丸の「Six」に変えるという、絶妙な改名です。
ストレートで分かりやすいですが、パンクロックの響きは失われました。
エアロスミス
🇯🇵 Aerosmith
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🇺🇸 Little Bomber(リル・ボマー)
元ネタ: Aerosmithというロックバンド名
変更理由
バンド名の著作権を考慮
ニュアンスの違い
- Aerosmith: 直訳的なニュアンスとして「空の職人」
- Little Bomber:小さな爆撃機
ナランチャの子供っぽさとスタンドの小型プロペラ機のビジュアルには合っていますが、Aerosmithというバンド名のカッコよさには及びません。
海外のロックファンからは「本名で呼びたかった…」という声も。
パープル・ヘイズ
🇯🇵 Purple Haze
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🇺🇸 Purple Smoke(パープル・スモーク)
元ネタ: Jimi Hendrixの曲『Purple Haze』から。
変更理由
曲名の著作権を考慮
ニュアンスの違い
- Haze:もや、霞
- Smoke:煙
「Haze(霞)」を「Smoke(煙)」に変更。意味が近く、音の響きも似ているため、比較的受け入れられやすい「優良な改名」とされています。
元の名前の持つサイケデリックな雰囲気は少々薄れました。
スパイス・ガールズ
🇯🇵 Spice Girls
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🇺🇸 Spicy Lady(スパイシー・レディ)
元ネタ: Spice Girlsというイギリスのガールズグループ
変更理由
グループ名の著作権を考慮
ニュアンスの違い
- Spice Girl : ポップで明るく、ガールパワーを感じさせる。
- Spicy Lady : より大人っぽく、セクシーで刺激的な印象
「Girl」を「Lady」に、「Spice」を「Spicy」に変更。トリッシュの成長を象徴する名前としては、より大人っぽくなったとも言えます。
おわりに|名前が変わってもスタンドの本質は変わらない
荒木先生の音楽への深い愛とリスペクトが詰まったオリジナル版も、権利問題に配慮しつつ工夫された海外版も、それぞれに違った味わいがありますね。
名前は変わっても、彼らの覚悟は世界中のファンの心に届いているのでしょう。
次回は、暗殺チームのスタンド名と海外改名を中心に、さらにディープに掘り下げていきます。お楽しみに!
参考: 本記事は北米版アニメおよびゲーム『オールスターバトル』以降の名称を基にしています。